「しまった!」土日を休んで出勤した研究員は驚きと自責の声を上げた。なんと、2日放置した粘土は硬く変質していたのだ。これではこねることが出来ない。
初めて粘土を手にしたとき、直感的にこねだした自分、その神憑り的なひらめきに慢心していたのだろうか、手痛いミスだった。「まさかあのような劇的な変質を遂げるとは。過程を記録すべきだった」
あてどもなく天神をさまよう研究員の足は自然と紙粘土との出会いの場所へ向かっていた。ZEEX天神3Fホビーショップ「トムソーヤ」店員は無言である商品を差し出した。「カービングナイフ\1,500」それはまさに研究員が必要としていたものだった。受け取るやいなや研究室へきびすを返す研究員を店員の声が追う。「300〜1000番の紙ヤスリで仕上げるのがいいですよ」「それは持っています。ありがとう」
固まってしまった粘土を手にした研究員はひらめきのままに削り続けた。
表面がなめらかに!